黒森信仰の周辺

ruger2006-05-17

 宮古市街のはずれに黒森山という信仰の対象となる山があり、黒森神楽が伝えられています。神楽や神子舞については以前書いていますが*1、今回は黒森山周辺に目を向けた調査となります。
 黒森もご多分に漏れず、明治の神仏分離に際し神道を選択したため、近世黒森山大権現が黒森神社となっています。そして、しっかりと廃仏毀釈を実行しました。山中にあったとされる多くの仏像が失われたようです。
 出羽三山にしても、鳥海山にしても廃仏毀釈に際して、それを守ろうという寺院がありましたが、ここ黒森でもそうした寺院がありました。今回の調査ではそうした寺院を中心にうろうろです。古文書などで追えるところもあるのですが、博物館の醍醐味というか、こうしてモノの性格から信仰の姿を追いかけるというのもなかなか楽しいものです。
 しかし、山岳信仰を対象にすると、本当に神仏分離というのは疎ましいですね。これがなければいろいろなことがわかったのに…しみじみ思います*2
 写真は、そうした寺院の一つ、長根寺さんに祀られている尾玉大明神です。長根寺は盛岡から宮古に向かうと、ちょうど黒森山の入り口に当たる場所となっており、近世の中心的な宿坊と伝えられているそうです。この尾玉さま。霊験あらたかで、近世には盛岡藩主の病を治すために、わざわざ盛岡まで出張し、神霊によって治したという記録が藩側に残されているとのこと。
(本日の運転距離 280km)

*1:id:ruger:20050717

*2:最も、近世初期の本山派とか当山派といった修験の編成でもかなり変質しているようなので、これもまた歴史と言うことなのですが…