神楽本

 あれがあって、終わるとこれをして、などといろいろと計算してみると、9月から12月(もしかしたら3月)まで結構忙しくなりそう。で、そんな中、どう計算しても自分より忙しい同僚から報告書の編集を一つ頼まれました。そうなると断れないし、内容がとある神楽の解説本で、同僚がそのおもしろさをここ数ヶ月教えてくれていたので、やってみることに。
 なにがおもしろいかって、神楽本である。古くから神楽を保持している団体は江戸時代に書かれた神楽本などと呼ばれる写本を持っていることが多い。ここには台詞やら手次(てつぎ)と呼ばれる振りが書かれており、手次さえわかれば*1どんな演目も復元することができる、というものです。もちろんそれだけではなく、神楽の由緒書やら、演目を書き上げただけのものなど、さまざまな古文書が残されています。そこには単に古い芸態が記されているだけではなく、数冊の神楽本が残っていると、芸態の変化の過程などもみつけることができるなど、なかなか情報量の豊かな素材のようです。せっかくですので、その辺に注意しながら編集をしてみますか。ちょっと楽しみな仕事になりそうです。
 しかし、芸能史というのは専門外なのですが、なかなかおもしろそうな世界です。宮城県内の神楽もいくつかの系統に分類されていますが、ちょっとした所が似ていたり、よくわからないところが違っていたり、どうも謎の修験X氏というのが200年ほど前に暗躍?していたのでは*2、なんて想像が掻き立てられます。

*1:これがわからなくなっていることが多いのだが

*2:ちょっと補足をすると、中世から近世にかけての神楽の変化には、復古神道の流行など、大きな神道・仏教思想の流行による神楽の解釈の変化というものが大きなところではあるのですが、それ以外にも地方色のある特徴の発生などがあり、地域に流行を伝える特定の人がいたのではないか、などと考えているということです