地域振興の資源としての民俗資料

新設の博物館情報が載っていました。

歴史や文化の伝承館が完成−−釜石市 /岩手
 釜石市橋野町と栗林町の歴史や文化を伝える市栗橋ふるさと伝承館が、産地直売所・橋野どんぐり広場の一角に完成した。
 同市では初の施設。木造平屋建て約65平方メートルで、工事費945万円のうち900万円は同地区の水力発電所に対する電源立地地域対策交付金を充てた。わらで作ったみのや糸紡ぎ、ノコギリなどの民具や農具などを展示。戦前の集落などの古い写真も掲示している。【鬼山親芳】
毎日新聞 2004年5月11日

で、各地にこういった施設が作られ、民俗系の博物館・資料館と重なる収集展示が行われています。以前紹介した山元町の田園空間博物館構想も、不勉強だったのですが、ここに紹介されているように農林水産省が発案し、県がバックアップしている動きです(これについては気になるので今後も情報を集めたいと思います)。上記伝承館も、電源立地地域対策ですから、通産省が関係しているのでしょう。
私のような博物館の人間は基本的に文部科学省の管轄になりますし、このように、国レベルで見たときさまざまな組織が関わり合うなかで、展示施設が作られています。そして「縦割り」といわれるように、こうした動きは連携や構想なく、それぞれで作られています。
釜石には博物館の類の施設はなく、民俗資料を収蔵する施設として「伝承館」がつくられることは喜ばしいのですが、交付金の施設は案外、はじめにつくったまま、ということが多いように思います。こうした施設の資料もまた有機的に利用できる「文財行政」もまた考えていたかなくてはならないのかな、と思います。
あと、こうした高所に立った視点だけではなく、現場レベルでも、そうした施設をなるべく把握しながら、横のつながりを作っていく努力も必要なんですがね(自戒)。