小豆の雑煮

ruger2006-01-11

 私の親の実家は島根県で、幼い頃より雑煮は汁粉だと教わってきました。山陰地方の一部でこういう習慣があることは知られているようで、父親などは毎年熱くそのことを話しますが、なぜ小豆なのか、なんとなく気になっていました。
 先般、妻の実家である山形にて、義父となにげなくそのことを話していたところ、どうも山形(月山の麓が義父の出身地)でも元旦の最初にだされるのが汁粉とのこと。その後にいわゆる雑煮がでるため、島根とは異なりますが、はてさて…
 で、本題がこの写真です。先の日記にもあったように山形を抜け出して宮城は志津川に行った際、知人宅で昼食として餅をごちそうになったのですが、ここで焼き餅と一緒に出されたのが、そうお汁粉です。知人のお母さんに伺うと、志津川でも元朝参り*1から帰ると元旦の膳になるのすが、この際、この小豆の汁粉ときなこ餅、雑煮の3品が出され、これを食べるとのこと。
 お汁粉は、砂糖をたっぷり入れて、デザート的な色彩が強い料理になっていますが、一般に砂糖が普及したのが江戸時代後期からとされ、それ以前は塩味の料理だったということですし、地方に行けばもう少し後までそういう味だったと考えられます。現在の感覚だと、正月早々に汁粉を食べることに違和感を感じますが、もう少し別の意味があるのではないかな、という気がするのはうがちすぎですかね?
 さらに、志津川の汁粉をいただいていて、気になったのが一緒にでるきなこ餅で、きなこ、すなわち大豆と小豆、餅の米という具合で、いわゆる五穀を元旦に食べるのが正月の餅の食べ方だったりして、などと妄想はふくらんできます。
 以前、文化庁の雑煮100選を紹介しましたが(id:ruger:20050210)、それでもふれているように、雑煮と呼ばれる料理の中でも餅以外に雑穀類が目立ちますし、そもそも、今回のように雑煮以外に分類される餅の食べ方ももう少し気にしてもよいような気がしてきますね。たぶん、餅なし正月・芋正月といった古典的な議論とも結びつくというか、それすらも一部として話が展開できるような気がするのですが。
 正月早々、妄想話で恐縮ですが、ちょっとした雑感まで

*1:いわゆる初詣