波伝谷の春祈祷

ruger2005-03-13

 志津川町波伝谷に調査にきています。
 ここ志津川町の戸倉地区から南側の三陸沿岸には春祈祷といって、悪疫等々退散のために、集落の一方の端で祈祷をしたのち、集落を巡り、悪疫を集めてもう一方の端から送り出す行事が行われています。
 この時期海沿いの道をドライブすると、お札のついた竹竿が村はずれに大量に立っているのを目にしますが、これが春祈祷のお札になります。他地域の春祈祷を実見したことがないのですが、波伝谷の春祈祷では、祈祷に際して獅子舞が附属するのが特徴とされています。80戸ほどの集落なのですが、一軒一軒で獅子舞をし、途中9カ所の休憩所があるので、朝8時からはじまり、終わるのは日の入り後になるという長丁場の行事です。
 途中途中ではお酒が振る舞われ、皆真っ赤な顔をして行列をつくって移動しています。とはいえ、春先の寒い時期ですし、酒を飲みながらでないとやっていられないという面もあるのでうが、酒のおかげで、皆にこにこしながら地区内を歩いています。


 芸能調査であれば、いくつかの特徴的な舞が見られれば事足りるのかもしれませんが、民俗調査だと、家の周り順や休憩所の由来、振る舞われる料理の違いなど、見るべきところが多く、延々ついて歩くことになります*1。その分、各家々の人の行列を待っている様子を伺うことが出来、なかなかおもしろい情報を得ることが出来ました。
 まさに、「ムラ祭」という感じが非常する行事でした。あまり広く知られていない行事ですが、おすすめの行事ですね。

*1:いや、何がいいたいかというと「寒かった!」ということがだけですが…