「がったり」をシンボルに

農村風景を取り戻すために「がったり」(唐臼)の復元をしたというニュースです。

「がったり」をシンボルに 水力精米施設増設(河北新報
 昔ながらの農村風景を取り戻そうと、宮城県丸森町耕野芦沢地区の住民が、水力で精米する「がったり」の復元作業を進めている。この地区では、2年前にも高齢者らの記憶を頼りに1基を完成させており、住民らは「次は水車建設に挑戦したい」と意気込んでいる。
 住民が手掛けているのは、地元で「女(おなご)がったり」と呼ばれる精米施設。軸棒に付いた2つの箱で小川の水を溜め込み、その重みで回転する力を利用して精米する。
 地区内では40年ほど前まで多くの「がったり」が稼働していたが、電力で動く精米機が普及したため、長く姿を消していた。「がったり」の呼び方は、機械が動くときの音から生まれたという説が有力だが、詳しくは分からないという。
 住民たちが3月末、廃材などを持ち寄って建設に着手。お年寄りの記憶などを頼りに、手探りの作業を続けている。電動式の精米機に比べ熱を生じさせることが少ないため、コメの食味が増すメリットもある。
 復元に取り組む人たちは5月に予定している地区内の田植え祭りでこの設備を披露し、ついたコメを地区住民に味わってもらうことにしている。
 2年前にこの地区では、「男がったり」と呼ばれる別の精米施設を復元させている。「男」と「女」の区別は、動力を伝える方法の違いにあり、「男がったり」は、ししおどしのようなシーソー式になっている。
 地元区長の谷津秀夫さん(63)は「がったりは、私の年でも子ども時代の記憶しかない」と言う。今後、水車小屋の建設にも前向きで、「がったりとともに、地区内のシンボルにしていきたい」と話している。(河北新報

こうした、人力中心の農業を復元する動きはけっこう広く見られるような気がします。単なる風景だけではなく、機械を使うことで効率はあがるが、熱などで風味が損なわれるという面が指摘されており、いわゆるスローフード運動の一つとして、今後広く復元風景が見られるような気がします。