三春張子
東北でだるまを調査するなら、やはり聖地?デコ屋敷に行かねば、ということで行って参りました。
三春の張子は旧三春藩領内でもう少し作られていたという話もありますが、現在は、ここ高柴デコ屋敷と呼ばれる、高柴地区の4軒のみで製作されています*1。
三春張子では三春人形と呼ばれる歌舞伎を題材とした人形が有名で、確かに現在のものも、そして「デコ屋敷資料館」に残されている近世の品も見事な物です。ただ、だるまの調査者として目がいったのは、だるまと写真にある天狗面です。この天狗面、優に1メートルは超える大きさでしょうか。写真だと養蚕建築の2階部分が格子で覆われていますが、それと比較するとよくわかると思います。この大きさの天狗面、何に使ったのでしょうかね?こうして張子屋の看板的に使うのはありでしょうが、一般の人はこれをどこに飾ったのでしょうか?
というのも、先日いったいわきの張子もだるま以上に天狗面が主要な品で、船に飾るということでしたが、この山間の三春ではどうなんですかね。大きさを売りにしているのは、この天狗面とだるまのみですから、三春人形や張子面とは別の位置づけがあるような気がするのですが。
調査のメインである技術的な面はさておき、その他おもしろかったのが、このデコ屋敷では張子だけではなく、もう一つの有名な郷土玩具、三春駒*2も製作しています。こちらの方が由緒はあると伝えられていますが、いずれ、デコ屋敷の職人は木工ができるという条件があるわけですね。そのため、張子作りで一番の肝となる型を自ら作られるというのが特徴になります。これが多様な三春人形を生み出した原動力であり、また特徴的なだるまを生み出す元となっているようです。
その他、もろもろ、これまで気が付かなかったことをいろいろと知ることができ、なかなか刺激的な調査でした。